Viibar テレビ局向けDX支援

クライアントインタビュー

「NHK HUMAN」「不可避研究中」から紐解くNHKのデジタル施策

2020/09/09

今回はViibarが立ち上げから関わり、企画・制作・運用支援をしているドキュメンタリーコンテンツ配信チャンネル「NHK HUMAN」、そして稲垣吾郎さんがMCを務めている番組「不可避研究中」のデジタル展開をご担当されていたNHK安田さんにお話を伺いました。

お話を伺った方

NHK
旧報道局社会番組部デジタル開発班チーフ・プロデューサー、現デジタルセンター副部長
安田 達一郎 さん

聞き手

株式会社Viibar
テレビパートナー事業部 部長
鈴木 健太 新卒でテレビ東京に入社。編成局を経て報道局にて経済ニュース番組のディレクターを担当。その後、政治部記者として総理官邸や自民党を取材。
2017年、Viibarに入社。現在はテレビパートナー事業部長として各局のデジタル戦略・動画活用を支援中。

Let’s Talk!

NHKさんとは様々なプロジェクトをご一緒させていただいた中で、本日はNHK HUMANと不可避研究中の2つのプロジェクトを中心にお話をお伺いできればと思います。宜しくお願いします。
最初に、普段の業務内容や所属部署のミッションについて教えてください。

この2年間、報道局社会番組部デジタル開発班でプロデューサーをしていました。主に報道系のコンテンツを放送以外の方法で視聴者やユーザーに届けるための様々なトライアルをしています。
デジタル+開発という感じで、具体的には「クローズアップ現代+」のショート動画やWeb上で「みんなでプラス」というテーマごとの記事で人の繋がりを作ったり、Twitterを使って放送では届かない人に世の中の社会問題について考えるきっかけを作る番組「不可避研究中」を開発しました。

「ひと」に焦点を当てたドキュメンタリー「HUMAN」

HUMANは2017年度末にトライアルというかたちでスタートし、この時からViibarとして関わらせていただいていますが、局内でなぜこのような取り組みが始まったのか教えてください。

NHKは様々な番組・部署でドキュメンタリー番組を作ってますが、せっかく取材した成果を限られた1、2回の放送だけではリーチできない人たちが多くいます。そのような方々に取材のエッセンスを届けることを目的としています。

また、ユーザーに対しては、NHKは北海道から沖縄まで放送局があり、様々な現場で本当に色んな人に取材をしています。ドキュメンタリー好きな人ってそれなりにいるんですが、放送だと時間や地域が限られていて届かない人が多くいるので、そういう人たちにNHKのドキュメンタリーの価値を認識してもらうことが目的です。

Viibarが果たしている役割についてどのように感じていますか?

HUMANは、立ち上げからViibarさんと一緒に動画コンテンツを開発してきました。どのくらいの尺にすれば1番届くのか、どういう作りにすれば最後まで見てもらえるかなど、放送と違う様々なデータを毎回分析・改善提案してくれるので、PDCAを回しながら動画作りのアップデートを絶え間なく行うことができています

また、そのようなプロセスの後にデータ分析のレポートを作ってもらっています。それを基に定期的に編集会議を行い、次はこういうことやってみようか、と一緒にトライアルをしています。

テレビの番組制作とネットコンテンツ制作は工程も思想も全然違うと思いますが、HUMANに携わってどういうところに違いや発見がありましたか?

テレビは電波を使ってあまねく多くの人に届けることで、その一瞬にたくさんの人が同時に見ることが基本となっています。もちろん録画する人もいますが、ほとんどの場合放送した瞬間に消費されます。

一方、HUMANはSNS上に動画を展開することでロングテールで消費される点がテレビとの最大の違いだと思います。例えば200万回再生された動画の場合、9月に投稿して12月にかけて100万回再生され、見た人が「これいいよね」とシェアしてくれたことで、それがどんどん広がり日本だけでなく海外も含めて多くのユーザーに届きました。

※ 200万回以上再生された動画「自撮り写真で 老いを笑いに」

データ分析も今までのテレビ制作とは違う点だと思っているのですが、データ分析の重要性についてはどう感じていますか?

テレビ制作でも視聴率を様々な形で分析して見ていますが、最大の違いはSNSやインターネット上のコンテンツでは、どのターゲットにどれだけ見てもらえたかをより明確にしなければいけないことです。

コンテンツが色々な趣味趣向を持った人たちの中で、誰に刺さったのか発見していって、再現性のあるパターンを知見として蓄積していかなければならないと思っています。そういう意味でデータというのは、HUMANというサービスを安定的に発展させていくための鍵だと思っています。

実際にターゲットに対してデータを活用したサイクルを回してきたことで、去年は平均のリーチ数が10万程でしたが、現在は30-40万という結果が出ていて、より多くの人に見られるようになりました。

HUMANも番組開始から2年以上経ちフォロワーもリーチも順調に伸びている中で、プロジェクト自体がNHKにもたらしている価値はどういうものだと捉えていますか?

ひとつだけ確実に言えるのは、若手の作り手や地方局も含めて取材したものを放送以外で展開することへの関心はすごく高められていると思います。私は社内研修の講師をすることもありますが、若手のディレクターたちも、自分たちがテレビだけで生きていくことに不安がある中で、テレビとは違うコンテンツ制作を学べる場への関心と期待を感じています。

世の中の不可避なテーマを自由研究する番組「不可避研究中」

続いて不可避研究中についてお伺いしていきたいのですが、不可避研究中はコンセプト自体もチャレンジングな番組だと思いますが、番組立ち上げの経緯と概要について教えてください。

もともとは、ネット世代向けジャーナル番組を開発するプロジェクトが立ち上がりました。つまり、NHKのテレビ放送では報道系のコンテンツがテレビではなくスマホが一番身近なメディアという「ネット世代」になかなか届いていない。それを届ける方法を開発するというのがミッションです。その時にデジタルも含めてやるということで、私にも声がかかりました。

その中で、普段テレビを見ることがない層にいくらテレビで放送しても届かないという考えが僕を含めた開発メンバーの共通認識にありました。最近は変わってきましたが、社内ではSNSはユーザーをテレビに連れてくるためのプラットフォームという考え方でTwitter等をとらえている人もいました。不可避研究中ではTwitter を主たる届ける場として、不可避研究中のアカウントをフォローしている人がリツイートして、そこから広がって拡散するようなコンテンツを作れないかと思い立ち上げました。

それで、世の中を生きていく上で避けられないテーマ、不可避なテーマ、ジェンダーとか外国人とか大きいテーマを扱いつつも、音楽好きとかアニメ好き、演劇好きな人とか、いろいろなクラスターを設定して、そういう人たちにまずはコンテンツを届ける。一つだけでも良いから届けるということを目指してコンテンツを作ってきました。

番組が始まってからユーザーや業界の反応はどうですか?

 

ジェンダーの回では「ジェンダー偏差値ゼロからの挑戦状」という企画をやったんですが、男女共同参画に取り組んでいる方々に注目されて、国立女性教育会館という独立行政法人が主催している男女共同参画のワークショップに「不可避研究中に見る情報発信の考え方」で講演をして欲しいと言われました。そのテーマをしっかり考えている人たちに評価されたのはすごく良かったなと。

また外国人労働者の回ではラップを作ったんですが、参加してくれたアーティストたちがインフルエンサーとなって、普段そんなにNHKを見ない人やその周りの人達に届きました。

 

データについては正直視聴率はあまり見ていなくて、Twitter上でどれくらいエンゲージがあって、どんなコメントがあるのかを見ています。そうすると自分事として捉えたコメントが結構あるので、そういうつぶやきを手応えとして感じています。

実は放送直後の30分間のことを「自分事化タイム」と僕は呼んでいるんです。放送中は条件反射的なツイートが多いんですが、番組が終了して5分くらい経つと「あのシーンはこういうふうに考えさせられた」みたいな感想戦みたいなものが展開されるんです。それは多分、普通の番組でつぶやくのとは違って、ここにいる人たちは呟いてもちゃんと聞いてくれるっていうコミュニティ意識があるのかなと思っています。そう意味では、この番組を考えるきっかけにしたいという人たちが集まる世界を作れているのではないかと思っています。

HUMANと不可避研究中との関わり方って、Viibarとしてもそれぞれでご提供している価値が異なると思っていますが、不可避研究中の中でのViibarの役割や価値をどのように感じていますか?

不可避研究中は「作り方改革」のプロジェクトでもあると僕は思っています。今までのテレビは基本的にロケしてきたPDと編集が一つの編集室で一定の日数かけて作る方法を取ってきました。しかし、今回はTwitterコンテンツについては、PDと編集するクリエイターがリモートで制作できるかをやってみようというトライアルを進める中で今回ご協力いただいています。

最初の頃は互いに認識が合わないこともありましたが、場所に限定されない作り方はできると思います。今後は地方のPDも参画して、東京に来なくてもリモートで企画を作れるという動画制作にトライしてみようと思っています。

1 2


テレビ局の挑戦を
サポートします

ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。他の案件実績や料金プランなどについてもさらに詳しくご説明させていただきます。