近年、街中で目にする機会が圧倒的に増えてきたデジタルサイネージ。駅構内などの柱一面に動画が映し出され、歩きながらでもつい目を留めてしまうという経験もあるのではないでしょうか。今回はそんなデジタルサイネージを用いた海外のちょっと変わったインタラクティブなプロモーションをご紹介します。

Pepsi Maxの事例

AR(拡張現実)との融合

 動画元年と言われる2014年ですが、ここ数年、動画を活用する「面」の数は確実に増えてきています。動画共有ソフトはもちろん、こちらでご紹介したような店頭での活用、そして街中のデジタルサイネージ。ここではそんな「面」のひとつであるデジタルサイネージの活用事例をご紹介します。

 まずは、ペプシマックスが行ったデジタルサイネージとAR(Augmented Reality:拡張現実)を融合させて行ったプロモーション「Unbelievable Bus Shelter」。

 動画ではバス停にいる人々が巨大ロボットや空飛ぶ円盤などのリアルな「拡張現実」に驚く様子がみてとれます。

YouTube再生回数は650万回を突破!

 このプロモーションはロンドンで最も人の往来が激しい通りの一つ、New Oxford Streetで行われました。

 バス停の壁の一面が透明なデジタルサイネージディスプレイとなっており、そこに映る実際の風景の上にアニメーションが融合され、あたかもそれが目の前で現実に起こっているかのように見せる仕掛けです。ロンドンの通勤者を信じられないシチュエーションに放り込むこのプロモーションはペプシマックスが行っている”Unbelievable”キャンペーンの一環として行われました。

 ドッキリ映像としても楽しめるこの動画はYouTubeにも投稿されており、その再生回数は現在650万回を超えています。

ASICSの事例

トップマラソンランナーとのコラボレーション

 こちらはアシックスがニューヨークマラソンの開催に合わせて行ったプロモーションです。

 ここでは60フィート(約18メートル)の横長のデジタルサイネージディスプレイに全米最速のマラソンランナー、ライアン・ホール選手が走る映像が映し出されました。普段はテレビでしか見ることができないトップ選手のスピードをここでは実際に目の前で体感することができました。

 ニューヨークのColumbus Circle Stationで一カ月にわたって開催されたこのキャンペーンでは何百人もの人々がディスプレイの横を並走しました。それを見る人々を巻き込み、ついつい体験させたくなるインタラクティブなこのキャンペーンは全米でも高い評価を受けました。        

 YouTubeに投稿されたこの動画は67万回の再生がなされています。

ユニリーバの事例〜子供たちを夢中にさせるデジタルサイネージ

 家庭用品メーカーであるユニリーバが英国の複数のショッピングモール内において行ったキャンペーン。 

 デジタルサイネージを効果的に使用して新商品である洗濯洗剤をPRしたときの様子です。動画の中では子供たちがディスプレイの前で何やらゲームに夢中になっています。

「香り」を取り入れた仕掛けも

 このサイネージの特徴はゲームだけではありません。動画ではわかりにくいのですが、床に貼られている花の形をしたシートにも秘密があります。

 実は、そこには一定の間隔で香りが放たれる仕掛けが施されていて、そこから新商品である洗剤のフレグランスが漂うという仕組みになっているのです。サイネージといえば視覚に訴えるものが一般的ですが、そこにゲームや香りといった別の要素を加えることで、消費者に今までにはなかった新たな体験を提供することができ、商品に対する強烈なインパクトを与えることができます。

まとめ

 今回は海外の有名企業が街中で実施したデジタルサイネージを用いた、ちょっと変わったプロモーションキャンペーンをご紹介しました。「動画広告」というとテレビやインターネットを通して視聴するインドアなものというイメージが先行しますが、現代ではすでに街中のあらゆるところに動画が溢れています。

 DOOH (digital-out-of-home)広告と呼ばれるデジタルサイネージは、リアルな世界で展開されるメディアだからこそ、その活用方法は無限にあります。今回見たようにARとの融合、トップマラソンランナーとの競争、嗅覚など視覚以外の感覚の利用などその工夫の方法はさまざまです。しかしどのキャンペーンにも共通していることは見る者を巻き込むインタラクティブなコンテンツだということです。

 ただディスプレイに映し出された映像を見せるだけよりも、それを用いた「体験」を提供することでそのブランドや商品の印象を消費者へ強く残すことができます。デジタルサイネージ市場の拡大が見込まれる今後は、動画を用いた消費者体験型のプロモーションキャンペーンがますます増えていくと考えられます。

参照

“Augmented reality digital signage from Pepsi invades London” Digital Signage Today

“Surf's up: The smell of digital signage success “, Digital Signage Today

 

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