その土地固有の魅力を新たなストーリーとして紡ぎ、食文化を通じて発信する地域振興プロジェクト『PROJECT DINING OUT』が、新たな取り組みとして動画コンテンツ『DINING OUT FILMS』を立ち上げました。なぜ今映像なのか?動画を利用した新しい取り組みとは?PROJECT DINING OUT メディアプロデューサーの吉野氏に伺いました。

吉野 哲氏 インタビュー

⚫プロフィール

吉野 哲 (よしの あきら)
PROJECT DINING OUT メディアプロデューサー

2005年、博報堂入社。

2012年、博報堂DYメディアパートナーズにて、広告コミュニケーションのノウハウを活用した新規事業「DINING OUT」のメンバーに加入。
以来、DINING OUTのブランディングを目的としたメディアプロモーションや、メディア関連のコンテンツ開発をメインに担当。
2015年、新規プロジェクトとして「DINING OUT FILMS」を立ち上げた。

 

●DINING OUT FILMS 第一弾公開作品 「CIRCULATION in SADO」

 

日本を五感で楽しみ堪能できる「DINING OUT」

−− 大々的に宣伝をしていないにも関わらず毎回チケットが完売してしまうDINING OUTとは、どのようなイベントなのでしょうか。

 端的に説明すると期間限定の「野外レストラン」です。開催場所や開催日時、開催期間も毎回異なります。日本でも指折りのシェフが腕をふるい、開催期間が終わると消えてしまう特別なレストランです。

 日本には、まだまだ観光地として顕在化していない地域や自然、文化が多くあります。それぞれに違った魅力があるにも関わらず、地元の方はそのことに気が付いてないことも往々としてあります。そこで、僕たち外部の人間の視点と地域の人たちがタッグを組むことで新しい光をあてることができれば、隠れていた魅力を引き出せるのではないかと考えて取り組んでいます。

−− なぜ、「食」にフィーチャーしたのでしょうか?

 イベントを開催するにあたり、その地域の魅力を最大限に表現できるものは何かと掘り下げていった時に、辿り着いた答えが土地固有の“食文化”でした。食文化は、その土地の歴史や文化、自然が集約されています。くわえて、海外へも発信しやすいコンテンツだと思いました。“おいしい”は万国共通ですからね。

 また、料理を表現するにあたりシェフというクリエイターが介在できることも魅力だと思いました。海外では日本人シェフの調理に対する細やかさやクリエーションが非常に高く評価されています。フランスのレストランでは日本人シェフが在籍しているか、していないかがクオリティーの基準になるといわれているほどです。

 日本のトップシェフというクリエイターと地域独特の食文化を掛け合わせることで素晴らしい科学反応が起き、オリジナリティーが高いだけではなくグローバルにも通用するイベントになると思いました。

神社

 

−− 今まで6回開催されていますが、石垣島ではガジュマルの樹の下、佐渡では神社と、レストランがオープンする場所が実に様々だと思いました。開催地はどのように決めているのですか?

 ロケハンを組み、地元の方と一緒にひたすら歩き回って開催地を決定しています。様々な場所に実際に足を運ぶなかで感じたのは、地元の方はあまり興味をもっていない場所が、僕たち外部の人間は素晴らしい場所だと思うことも多いということでした。例えば、佐渡で開催したDINING OUTでアミューズブーシュの会場になったお寺は、地元では観光客を入れるという認識があまりないような場所でした。でも、僕たちは手つかずの素朴な感じや苔が生えた階段に、情緒や神秘的な雰囲気を感じたのです。地元の方には新たな観光名所になると説得しました。

 僕らが一方的に、この場所でやりたいと決めるのではなく、地元の方と会話を重ねながらその土地の良さを表現できる場所を選んでいます。だからこそ、地元の協力が不可欠です。イベントの際も、調理スタッフや給仕スタッフなど地元の方に協力いただいているので、イベント全体をみてもDINING OUT成功の鍵は地元の運営チームをどうつくるかにかかっていると言えるのかもしれません。

−− 主催者側の一方通行ではなく、地元の協力もないと成立しないイベントですね。

 その通りです。外部の人間が勝手にきてイベントやっておしまい、では一時的なお祭りで終わってしまいます。DINING OUTは一過性のイベントではなく、長期的に根付くものを残したいという思いをもっています。そのためにも、イベント開催で培ったノウハウをどのように残せば活用し続けてもらえるのか、ということも常に考えています。

 例えば、DINING OUTのメニューレシピを地元に公開して、実際に提供することでその土地の新たな郷土料理として根付かせる「プレミアムレシピ」というプロジェクト。地方グルメに、B級グルメだけではなくA級グルメという楽しみ方も提案しようと始まりました。最高の食材を使うメニューなので当然値段は安くありません。でも、その土地でしか食べることができない、その土地で生産されたレベルが高い食材を使ったスペシャルな料理は、新たな観光資源になると思いますね。

−− DINING OUTは車メーカーの「LEXUS」が協賛していますが、なぜ車メーカーがパートナーになったのでしょうか。

 LEXUSさんは、元々デザインアワードやショートフィルムなど、ブランディングコミュニケーションの一環として、クリエイティブな活動を支援しています。DINING OUTについても、地方創生に取り組む活動やクリエイティブな世界観に共鳴いただきパートナーとなっていただきました。

 協賛といっても、DINING OUTでベタな車のプロモーションは一切ありません。以前、DINING OUTの中で開催地を巡るドライビングコースをつくったことがあるのですが、その際は車を貸し出してくれました。ただ、これはあくまでも “おもてなし”の一環であり、この“おもてなし”を通して「LEXUS」ブランドをより強く体感していただくことに繋げることができたと考えています。 DINING OUTとLEXUS、お互いの世界観が一致したからこそ素晴らしいパートナーシップが結べているのだと思います。

 ※後編は2015年7月31日公開予定です。

花

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