2015年、下着を一輪の花のようにデコレーションしたギフト商品「パンツフラワー」を、アスキーアートを使って話題拡散させたワコール。続く2016年は、動画を使って「パンツフラワー」の拡散を狙ったキャンペーンを実施。Viibarを活用してシンプルで考えぬかれた動画をリーズナブルに制作し、リリース後も毎日テキスト等の綿密な調整を行うことで、売上拡大を実現した。

プロフィール

  • ワコール 北見氏株式会社ワコール
    総合企画室 広報・宣伝部 WEB・CRM企画課 北見 裕介氏
    2008年にワコール入社。情報システム部を経て現職。Webサイトの運営・メルマガ・SNS・ネット広告など、ウェブ業務全般に携わる。

Twitterで大きな話題を呼んだ「パンツフラワー」企画

Viibar まず最初に北見さんのご担当分野を簡単にご説明いただけますか。

ワコール 私は、ワコールの広報宣伝部のなかのWebチームに所属しています。コーポレートサイト、ブランドサイトの更新や、メールマガジンの配信、ドメインの管理、SNS発信など、いわゆるWeb担当者の仕事を幅広く担当しています。

Viibar 各ブランドのWebサイトをつくるとなると、かなりの数のサイトを運営されていらっしゃるのでしょうか。

ワコール ワコールとしては50以上のブランドがあります。年代や嗜好に合わせた商品の展開がありますので、それぞれのブランドに合った訴求方法を、それぞれに検討する必要があり、そうすると、必然的にサイト数が増えていったという現状があります。

Viibar 今回動画を作ろうと考えられたきっかけは?

ワコール まず、2014年にパンツフラワーという下着を一輪の花のようにデコレーションしたギフト商品を8月2日、パンツの日に合わせて企画しました。パンツを贈り物にすることを狙ったアイデアです。元々は女性用ショーツをプレゼントとして贈る文化を作りたいと考え、贈り物といえば花、ということで生まれた企画です。それを、2015年にバレンタインに合わせた贈り物としてBROSという男性向け下着ブランドでキャンペーンを実施しました。

キャンペーンでは、パンツフラワーという言葉をフックに、以下のアスキーアート(コンピューター上の文字や記号を使って表現された絵)をTwitterで公式アカウントからつぶやきました。すると、瞬く間に様々なメディアでとりあげられ、2ちゃんねるなどでも話題になり、売上にも大きな影響がありました。

ワコール Web上で話題にして販売していくという手法がとてもユニークだったので、当然2016年も仕掛けたい、という話になるのですが、昨年と同レベルの売上を目指すのであれば、同レベルの話題化も再現する必要があります。

パンツフラワーという企画自体、元々面白さがあるのですが、その面白さを訴求する表現手段を考えるとなかなか難しい。選択肢として、動画を含め、バナーを作り込む、アニメーションGIFを作る、などの低コストな施策をメインにいろいろな方法を検討しました。逆に言えば、どういった表現であれパンツフラワーを昨年と違う形で話題にしたいというのが意図だったので最初から、動画でという訳ではありませんでした。

むしろ動画に対する私のイメージは、Web施策においても、テレビCMのような制作費、配信費をかけないとうまくいかないという認識で、思っていました。更に言えば、一定の制作期間も必要になるので、制作開始時に数ヶ月先のトレンドを読む必要があります。ただ、Webのこれまでの施策では、例えばバナー制作などでは数日でできるものが多く、その場その場でトレンドを仕入れてそこからPDCAを行っていくというものが多く、Web担当者としての感覚で動画制作に入るとトレンドを読みすぎて失敗するのではという懸念を感じていました。なので、正直なところ当初は、動画という選択肢は有力ではなかったんです。

そんな時、偶然クラウドソーシングモデルで動画を制作するというViibarの事を知りました。パンツフラワーの場合は企画自体がすでに面白く、動画の力だけで話題になるようなクリエイティブを作るわけではなかったので、こういう機会だからこそクラウドソーシングの活用に初挑戦してみようと考えました。

分かりやすく、シンプルにメッセージを伝えることが重要

Viibar 2015年のアスキーアート施策は北見さんの立案だったのでしょうか。

ワコール 残念ながら違います(笑)。事前にアスキーアートを使いたい、というイメージは持っていましたが、具体的には代理店さんと相談していた時に出てきたアイデアです。

実は、例のアスキーアートには間違いがあるんです。絵の上ではブリーフを丸めると花になるという絵になっているのですが、BROSのパンツフラワーで販売した商品はブリーフではありません(笑)。でも、多少の間違いがあるくらいの方がWebらしいと思い、そのままにしました。また、ブリーフのほうがアスキーアートとして分かりやすかった点も考慮しました。SNSで流行したり、バズったりするコンテンツの傾向をみると、分かりやすさがすごく大切だと感じるからです。一方で、究極的な分かりやすさを持つアスキーアートという表現をいきなりやってしまったので、2016年の施策に関しては、本当に悩みましたね。

Viibar 部内の別の方からViibarの事をお聞きになったそうですが、クラウドソーシングの動画制作という手法はそのとき初めて認識されたのですか?

ワコール 実は以前から知っていて、すごく興味がありました。ちょうどクラウドソーシングを活用した動画制作をてがける会社のどこかに問合せてみたい、と思っていた時だったので、同僚がViibarを誰かに紹介したいと思っていると聞いて、すぐ手を上げました。

Viibar 最終的にViibarをお選びいただいた決め手はなんでしょうか。

ワコール まず、レスポンスや提案までの速さに好感を持ちました。また、動画の企画内容を変にひねらず、シンプルに表現できる方が見つかった事も重要でした。今回、弊社側には既に明確なコンセプトがありました。ワコールのTwitterフォロワーの特性をよく考えて、去年のアスキーアートを見てくださっているファンの方たちに、「今年もパンツフラワーの季節がやってきた」とシンプルに伝えることです。

つまり、動画の企画内容だけでゼロから大ヒットを狙うのではなく、既に文脈があったわけです。ですので、制作上の分担としてクリエイターの方には、プロモーションの方向性ではなく、動画の表現や雰囲気などのクリエイティブ側に注力していただきたかった。今回、アニメでそれをしっかり実現してくださる方と出会うことが出来ました。

Viibar 動画では、メッセージをいれすぎると、結局何が伝えたいのかわからなくなることがあります。

ワコール そうなんです。今回の件にかぎらず、コンテンツを挟みすぎると本当に伝えたいことがぼやけてしまう。でも、シンプルにするのは意外と難しいですよね。制作側からすると色々できないので楽しくないという事もあるかもしれませんし(笑)

ワコール北見氏

テレビCMとWeb動画は連携するべきか

Viibar 北見さんはテレビCMもご担当されていますか?

ワコール いえ、テレビCMは他のメンバーが主管しています。テレビCMをしているブランドでは、Webプロモーション部分に関して私がサポートしています。ですので、CMと連動してSNS上でタッチポイントを作ったり、テレビCMに合わせたWeb広告を出稿したりする場合は、CM担当者と密に連携しています。

Viibar 全体のマーケティング戦略としては、CMでブランドを訴求して認知を広げ、Webでファンに育てて囲い込んでいようなイメージで連携されているのでしょうか。

ワコール テレビCMを出稿する際は、そういった構図を意識しています。とは言え、テレビと連動させたWeb戦略であるべきか、テレビとWebの戦略をある程度別で考えるのか、というテーマはいつも悩んでいます。過去のことを言えば、どちらかと言うと別に考えてきましたが、最近はCMとの連動意識が強くなってきている気がします。Web上では話題になったものがSNSを通じて瞬間的に消化されていく感覚がありますよね。そういった消費者のWebの使い方を考えると、テレビと連動させてシェアに繋げていく形の方が効果が高いのではないかと考えています。

Viibar 最近テレビを見ながらスマホで検索する人が多いとも言われていますしね。では貴社では今後テレビとWebの連携施策をより進めていくのでしょうか。

ワコール そうですね。ただテレビとWebの連携はなかなか難しい部分もあります。
Webにはデータがあるので、ある程度の情報収集能力があれば、誰でもそれを使って3ケ月後の流行を考える事ができます。だから、逆を言えば作るべきものが流されがちなんです。皆似たような分析をした結果、3ケ月後には似たような企画の動画を作ってしまう。

例えば一時期、アクロバティックな動画が流行ったり、ママ関連の動画ストーリーが多く見られた時期があったと思います。あれはまさに、先行した象徴的な動画が話題になり、それを見た他の企業が一斉に似たような動画を作りはじめた結果、時期が重なって出てきた、という事だと思います。そう言ったWebの流行に流されず、テレビと連動させながら、ブランドにとって最善の施策を考えるというのはなかなか難しいことだと思います。

Vol.2に続く

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