株式会社エフティ資生堂は、2016年春、男性化粧品ブランドuno(ウーノ)を10~20代の若年層をターゲットとしたリブランディングに伴い、新しい試みであるデジタル動画を選択する。Viibarをパートナーとして活用して制作した新しい切り口の8パターンの動画により、若者の反応を検証。CMよりも高い効果がでる施策も実現し、今後のデジタルマーケティングの大きな布石とした。

プロフィール

  • unoパーソナルケアブランド事業部 マーケティング本部
    フェイス・ボディ・メンズ室 
    UNOグループ ブランドマネージャー 山ノ井 千草氏
    1983年生まれ。外資系化粧品会社・外資系消費財メーカーを経て、資生堂へ。男性化粧品ブランドunoの商品開発から、ブランド戦略、プロモーション企画一連のマーケティング業務を担当している。

男性若年層へリーチする施策として動画を選んだ理由

—–山ノ井様のご担当業務内容をおしえてください。

私はドラッグストアやGMS等のチャネルで展開するFMCGを取り扱うパーソナルケア事業部のマーケティング本部に所属しています。その中で「ウーノ」という男性化粧品ブランドの製品開発・中長期のブランド戦略プラン立案・マーケティング施策などの業務を担当しています。

*GMSとは、ゼネラル・マーチャンダイズ・ストアのことで、一般的には百貨店、ディスカウントストア、専門店などを指す
*FMCGとは、Fast Moving Consumer Goodsの略で、一般的には、飲料、食品、化粧品等比較的短期間で消費される製品(日用消費財)のことを指す

—–今回、動画コンテンツを制作しようとした理由をお聞かせください。

ウーノがコアターゲットとする若年男性層のテレビ視聴率低下が顕著である中、彼らと常に繫がる“Always on”のマーケティング活動を実現するために、最適なコンテンツマーケティングとは何かを探るのが、目下チームとしての課題でありました。 会社としても若年層を資生堂に引き込み、よりデジタルマーケティングを強化するという流れもあり、様々な手法を検討している中、Viibarさんの取り組みを知りました。

今までクラウドソーシングを活用したことはなかったのですが、Viibarさんのシステムを活用することで、新たな試みとして動画コンテンツを様々なパターンから検証し、メディアとの最適性や、メディアプランの検討というところまで可能になるのではないかと考えました。

—–若年層の男性へリーチする様々な施策の中で、なぜ動画を選ばれたのでしょうか。

今年の3月に「大人への進化をサポートする」というブランドメッセージを掲げたブランドリポジショニングに伴い、やはりブランドの価値をきちんと伝えていきたいという思いが理由の一つとして大きくありました。

若年層へリーチするために、新しいアプリの開発や、ソーシャルメディア施策なども行いましたが、話題性で一旦リーチはするものの、一過性のものであることが多く、ブランドの価値や、ブランドのメッセージがどこまで届いているかを測るのは、非常に難しいという感触がありました。現時点ではブランドメッセージにターゲットの共感を獲得するステージであるため、動画を一つの手法として活用することを考えました。

テレビを軸とした動画コンテンツには、どうしてもトーン&マナーや、タレントさんの制約などがあるので、可能性のある幅広い切り口でクリエイティブを展開することができないということも、デジタルの動画制作を選んだ理由です。また、若年男性層が憧れる大人のイメージは、多様性があり、様々な分野で活躍をしている人であるということが調査を通じて見えてきました。

そうした大人のイメージ像に合わせ、多様性のある大人の格好良さや面白さを伝えていくのに、テレビCM一本ではなく、様々な切り口をもった動画コンテンツを通じてどのようににリーチするのだろう、というのを見てみたかったということも、デジタル動画を選んだ理由です。こうした施策は、どちらかといえばマスマーケティングよりも、ダイレクトマーケティングに近い感じですね。

クラウドソーシングを活用した動画制作は初めての経験でしたが、このようにブランドメッセージを共感してもらう手段の一つとしては、効果的であったと感じています。

メディアの検証やメディアプランの提案についても一緒にやれるViibar

—–Viibarを知っていただいたきっかけというのは?

記憶が定かではないのですが、たしか「宣伝会議」の記事で、ViibarさんとYahoo!さんが新しい取り組みをされるという記事を読んで、お声がけさせていただいたというのが、最初のきっかけでした。

—– Viibarに決めていただいた理由をお聞かせください。

非常に話題になっている企業さんでもあるので、この施策をするならViibarさんかなというのは一つ理由としてありましたね。 それと単にクラウドソーシングを使って動画コンテンツを作るだけでなく、メディアの検証やメディアプランの提案についても一緒にしていただけるのが、とても魅力的でした。

複数のデジタル動画を見た方の購入意欲が通常よりも3倍高い これはもしかすると、テレビより効率がいいかもしれない

—–制作中のエピソードでここはやり易かったとか、ここは改善してほしいなといったことはありますか?

私たちも初めての取り組みだったので、そもそもViibarさんとどううまく協業すればいいかということは手探りでした。しかし、担当者の方をはじめ、クリエイターやスタッフの皆さんが、本当にしっかりサポートしてくださったので、特別困ったことはなかったです。

コンテンツによって、ブランドに興味を持つのか、製品に興味を持つのか、購入まで意欲があがるのかといったところを見ていくというのが、最終的なゴールだったのですが、様々な切り口の動画コンテンツを用意することで、何がどう作用するのかを知ることができたのかは非常に大きな学びでした。また、複数のデジタル動画を見た方の購入意欲が通常よりも3倍高いという素晴らしい結果も出ました。これはもしかすると、テレビより効率がいいかもしれません。

ただ、今回時間も非常にタイトで本数も多かったので、最終的なスケジュール調整という意味では、私たちも無理を通していただいた部分があり、それは今後の課題と思っています。費用対効果は良く、通常のテレビCM制作のスケジュールよりも短縮できるものの、やはりある程度の制作期間は見込まなければいけないというのは、私たちの学びでもありましたね。 あとは、クリエイターさんによって、クオリティや対応軸に若干バラつきがありましたので、その辺りが初回でも方向性に合わせて事前に調整できたらよかったかなと思います。

新しい試みとして社内で一定の評価を得ることに成功

—–いろいろな切り口の動画について社内での反応はどうでしたか?

今回、新しい取り組みとして、テレビCMとは違う切り口から動画コンテンツを通じて購入意向を検証するための施策でしたので、社内ではトライアンドエラーとして取り組んでいました。

そもそもスタイリングは、若年層にとって、そこまで重要に選択される分野ではないということもデータから分かっています。ヘアスタイルにこだわったり、スタイリング商品のブランドにこだわったりということ自体がなかなか難しいところなので、そこではない部分で興味を持ってもらえる切り口を探すというのが目的でもありました。

—–視聴者の反応は事前に予測していましたか?

予測していた通りではないというところが多々ありましたね。また、今回は、様々な切り口の動画を作りましたが、その落としどころがブランドパーソナリティととリンクしていないと、結局興味を持ってもらえても、それだけで終わってしまうことになります。そして、そのあとブランドや製品に帰ってくることは、ほぼ難しいということも最終的にわかりました。

様々な切り口の動画を作れば作るほど、良いというものでもないし、ぜんぜん違う切り口からアプローチしたほうがいいという訳でもなくて、やはり一貫したマーケティングプランの中の一つとして、動画を展開していかないといけないというのが、本当に大きな学びでしたね。

※本事例は、2016年10月に実施したインタビューに基づいて作成しました。
※本事例は掲載時点のものです。

後編に続く

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