初めて映像を作る際、何から始めていいか迷うことがあると思います。何度も映像制作したことがあっても、実はそのやり方が効率的ではなかったりすることもあります。映像制作の発注には技術がいるのです。その基本をぜひ、今のうちに知っておきましょう。

映像制作の基本①:まずは「映像」を知ることから

なぜ映像なのか?

広告や自社のブランディングやサービスの紹介をする際、パンフレット、ダイレクトメール、チラシ、看板、新聞、雑誌、ラジオ番組……様々な選択肢があります。

その中で、なぜ映像制作をチョイスするのか。それをどこで流すのか。そこに明確な理由がなければなりません。

・ターゲットをしぼらず、CMで認知を広げて潜在層の発掘をしたい

・ターゲットが見ている番組・時間帯にしぼってCMを打ちたい

・渋谷の交差点の屋外モニターで流して、若い世代に訴求したい

・お客様が自社に来たときに、新製品の説明ビデオとして活用したい

・自社HPに新規サービスのリリース映像として流れるようにしておきたい

 ターゲットと訴求すべき内容・目的をはっきりとさせて、映像制作という選択肢の根拠をきちんと固めること。当たり前のことかもしれませんが、ここを最初にぶれないようにすることがはじめの一歩です。

映像でできること

ラジオ、新聞や雑誌など、映像でなくても自社の製品やサービスを知ってもらう手段はあります。しかし、これらとはあきらかに違う特長が映像にはあります。それは、映像を観るときは他に比べて「五感を使う」という点です。

ラジオは「聴く」媒体。雑誌は「見る(読む)」媒体。もちろん、使う感覚をしぼることで、メリットもあります。ラジオは音だけなので、設定次第で「海外」にも「宇宙」にも「未知の星」にも行くことができます。雑誌は、読みたいときに電車でもソファでもお風呂でも読めるという手軽さがあります。

対して映像はというと、「見る」「聞く」(ときに「触る」「参加する」ことも技術的に可能に)と、使う感覚が多い媒体です。音楽によって悲しくも、楽しくも、サスペンスにもできますし、サイレントな映像でも動き・表情で伝わるものがあります。

 使う五感が多い分、表現の幅もひろがる、バリエーション多くなる、というのが映像の特長と言えます。

映像表現のバリエーション

映像の表現は多岐に渡ります。

・アニメ

・実写(レポーターを使う、ナレーターだけで進行する、ドラマ仕立てにするなど。また、ストレートトーク(タレントがカメラに向かって語りかける、TEDのようなプレゼン形式)もあります)

・CG

さらに、実写とアニメ・CGの組み合わせもあります。その例を見てみましょう。

<トランスフォーマー:実写×CG>

<スペース・ジャム:実写×アニメ>

現代だけでなく、あえて設定を石器時代にすることもできます。江戸時代、中世ヨーロッパ、未来の地球など、時代設定を変えるこことで、表現の幅を持たせることができます。

場所も同じです。家? 外でのロケ? スタジオ? CG背景に人を合成? (電波少年のようなバラエティ番組でよくある) 外国? 月? 火星?

 映像制作は、組み合わせ次第で表現の幅は無限大です。

映像表現の技術・テクニック

映像制作では、その技術によってもかなり印象を変えることができます。むしろ、最新技術を使った映像表現自体が目新しければ、内容自体はオーソドックスでも見る人を惹き付けることできます。いくつかの表現技術をご紹介します。

<ストップモーション>

PROTEIGON from BURAYAN on Vimeo.

<ドロップモーション>

dropped from greg condon on Vimeo.

<シネマグラフ>(写真の一部分だけが動くような見せ方)

Five Golden Rings…

<タイムラプス>

Magical Europe - Timelapse from StanChang on Vimeo.

このような手法は他にもたくさんあるので、別の機会に詳しくご紹介します。

映像制作の基本②:進め方

①目的を決める

「目的を決める」なんて当たり前でしょ、とお思いになることでしょう。まったくその通りです。これは目新しい話ではないかもしれませんが、映像制作を進めるうちに目的を見失ってしまうことが多々あるので、ここは基本中の基本として、絶対に忘れないようどこかにメモしておきながら作っていきましょう(自戒の意味も込めまして)。

・商品を売りたいのか?新しいサービスを紹介したいのか?(販売促進)

・自社を知ってもらいたいのか?(認知拡大)

・自社のイメージを作りたいのか?変えたいのか?(ブランディング)

・キャンペーンを行うための告知をしたいのか?(キャンペーン・プロモーション)

製品紹介を行うための映像なのに、幻想的で抽象的な表現をしてもしょうがないので、目的に適した映像の内容・表現を作るためにここは何度も振り返りましょう。

②ターゲットを決める

ターゲット設定は、狭めれば狭めるほど、効果的な映像制作が可能です。

「30代女性」よりも「丸の内につとめている32歳の独身OL。大手商社の事務。」の方が◎。

「男子高生」よりも「彼女と進学と部活の狭間で揺れる、悩み多き都立高校の2年生」の方が◎。

さらに言うと、「兄弟の有無」「出身県」「まわりにどんな友達がいるか」「お風呂でどこから洗うか」なんて一見余計だと思えるポイントでも、詰めておくと思わぬ表現ネタが思いつくこともあります。

ターゲットをできるかぎり詳細に設定し、それをクリエイターと共有することで、より響く表現、反応を得ることができる表現を作ることできます。

③コンセプトを決める

「目的」と「ターゲット」を組み合わせて、製品やサービス、自社のどこの訴求ポイントを押していくべきか。それが「コンセプト」です。

「コンセプト」というと、短い言葉で簡潔にまとめなくてはいけないと思っている方もいるようですが、わかりやすくまとまっていればなんでも構いません。簡潔にまとめるべきなのは「コミュニケーション・ワード(キャッチコピー)」です。

コンセプトについて、例えば、iPhoneは「感覚的に使える」ことをコンセプトにし、すべてはApple独自の美学によって作られていますが、Androidは、「自由度の高さ・カスタマイズ性」を売りにしています。自分だけのスマホを作れるということです。

Googleは「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスして使えるようにする」。

IBMは「A Smarter Planet」。「地球を、より賢く、よりスマートにするための、社会の変革をお手伝いする」ことでしょうか。

 それぞれコンセプトには、それぞれの個性が強く出ていなければいけません。

 もし個性がなければ、競合他社の商品やサービスとの価格競争に巻き込まれてしまうことになります。

④オリエンテーションをする

意外とここを“なあなあ”にする企業担当者は多いです。でもかなり大事です。このオリエンテーションのやり方(またはオリエンペーパー書き方)の出来によって、広告会社(や映像制作会社、クリエイター)から上がってくる企画の善し悪しがかなり違います。

よく「こんな商品を作るから、それに合うターゲットとコンセプトと映像表現をプレゼンしてね」というオリエンテーションがありますが、これはダメです。

「こんな市場において、こんなターゲットを掘り起こしたい。だから自社ではこういう方向性(コンセプト)を考えている。それに見合う企画・表現をプレゼンしてほしい。しかし、もし市場の解釈やターゲット設定が違うのであれば、新しい視点から戦略と表現を提案してほしい。」

 これが効果的なプレゼンを受けるための、オリエンテーションです。

まず、企業担当者として、自分がどう考えているか必ず示しましょう。明確なビジョンを示さずにオリエンテーションをして、プレゼンで自分が考えていることと違う提案がくるとダメだしする、というのはNGです!

それ以降の制作の流れについては、企画コンテ⇒演出コンテ⇒撮影準備⇒撮影⇒オフライン編集⇒本編集⇒MA、となります。

※ざっくりとした流れは、「動画制作っていくらかかるの?料金相場まとめ」を読んでいただいてもわかりますので、参考にしてください。

まとめ

企業担当者次第で、映像制作のクオリティが決まります。

【映像制作を始める前のポイント】

①:本当に映像表現が最適な選択か、きちんと考える

②:①のために、映像で出来ることをきちんと理解しておく

③:映像の表現手法と技術を知っておく

④:「目的」「ターゲット」それに伴う「コンセプト」を自分でも考えておく

⑤:企画を出してもらう相手の能力を最大限引き出すために、効果的なオリエンテーションをする

基本的なことばかり書き連ねましたが、どこかが抜けている方、意外と多いです。映像制作の基本を身につけていれば、提案側の能力もモチベーションもかなり高められますし、「この担当者、なめてかかったらまずい」と、プレッシャーもかけることができるかもしれません。

初めてトライする方は、ぜひ楽しみながら、映像について学んでみてください。

Pocket