漠然と高いイメージがある動画制作にかかる料金。映像制作会社や広告会社から上がってくる見積もりを見てもイマイチわかりません。ここでは動画制作のいったい何にお金がかかっているのか解き明かしていくことで、健全な相場と、安く押さえるコツを探っていきます。

動画制作の料金には、まず人件費がかかっている

動画の品質を決める、企画を考える人

 動画を作るとき、その目的に合わせてどんなストーリーにするか。

 どんな場所で、どんな人に、何を言わせればその目的を達成できるか。

 それを考える人がプランナーです。この企画にかかる料金を「企画関連費」と言います。

 逆に、ここを自分自身でつくることができる企業担当者の方であれば、この「企画関連費」はかかりません。

しかし、動画を見た時に視聴者が思わず釘付けになってしまうように、そして最後まで見てくれるように、といった点まで綿密に計算して動画の脚本を考えていく。ここにプロの仕事があるので、多くの発注主は「企画プレゼン」を依頼して、その中から最良のアイデアを買うことが多いようです。

 この「企画関連費」は、作る動画の長さや数によって変わります。

 もちろん、著名なクリエイターが企画をすればその分高くなってしまいますが、

 一般的には、15秒:30,000円~、30秒:50,000円~、

 それ以上の長尺のものは、100,000円~を目安に考えていただければ良いかと思います。

 ただ、会社によっては企画提案だけでなく、確実に実制作(撮影〜納品まで)も任せてもらえるのであれば、企画関連費を押さえる会社もあります。

 また、企画コンテ(4コマ漫画のようにして内容を説明するもの)を制作する費用は別途かかるので、見積もりを見ただけでは一筋縄でいかないのがこの項目です。

企画を実施に落とし込むプロデューサーと演出家

企画が決まったら、実際に撮影しなければなりません(フルアニメーションだと別ですが)。

実際に撮影する場所(ロケ地)をどこにするか、演出家(ディレクターとも言う)やカメラマンは誰にするか。どんなカメラを使って、出演者は誰で、どんな大道具・小道具を使って……

 と、撮影に向けて事細かな内容を詰めたり、スタッフを決めたり、予算を管理するのがプロデューサーです。

 大御所で言えば、秋元康さんをイメージされるとわかりやすいのではないでしょうか。

演出家は、映画でいう監督のようなものです。ロケ地のこの場所から、このアングルで、こんな照明を当てて、こんな世界観で撮影しよう! こんな演技をさせよう! と実際の指示を出す人です。

大御所で言うと、北野武さんでしょうか。

動画制作の中で、人にかかる料金で代表的なものはこういったあたりです。

 プロデューサーの費用に関しては、作業時間にもよりますが、100,000円~が妥当な線です。

 演出家に関しては、ピンからキリまであるので、基準を示しづらいのですが、安めの方であれば100,000円~やってくれる方もいるかと思います(こればっかりはなんとも言えないですね)。

たくさんのサポートスタッフ

さて、ここまででまだ3つの職種しかご紹介していませんが、大きな撮影になればなるほど尋常じゃない数のスタッフが参戦します。その一部をご紹介します。

・プロダクションマネージャー(プロデューサーのアシスタント)

・カメラマン(アシスタントが付くことが多い)

・照明技師(光を操っていろんな世界観を作る。アシスタントが付くことが多い)

・出演者(タレントやレポーターなど動画の進行に必要な登場人物)

・スタイリスト(出演者のファッションをコーディネートする人)

・ヘアメイク(出演者の髪型やメイクをコーディネートする人)

・美術デザイナー(大道具、小道具をゼロから作ることも)

・ロケ地コーディネーター(適した撮影場所を探す人)

・車両部(撮影まわりの車の手配と運転をする人)

・録音部(撮影の際に音やセリフを高いクオリティで録音する人)

・機材屋さん(カメラや照明機材など、あらゆる撮影道具をレンタルしてくれる人)

・クッキングスタイリスト(食べ物や飲み物を撮影する場合は、見た目を美しくする人)

・エディター(動画の編集をする人)

・ミキサー(最終的な音のバランスを整える人)

・音楽屋さん(効果的なBGMや効果音を作曲する人)

・ナレーター(ナレーションを後から入れる人)

・・・と、これでもすべてではありません。

カメラマンや照明さん、美術さんなど、すべてのアシスタントは企業ごとに1日単位の人件費基準が設けられていることが多いので、例えばカメラアシスタントは15,000円~20,000/日、といった形で計算します。

 1日とは、だいたい8時間で計算することが多いです。撮影が長引いて朝までかかったりすると、翌日の仕事に影響するので1.5〜2日分とられたりします。

 それ以外の職種は、腕次第で基準が見えにくいので、難しいところですが、リストアップした全員が必要なわけでもないので、予算に合わせた企画を考えるのもプランナーの仕事です。

動画はあらゆる専門家たちが力を合わせて、クオリティの高め合って作り上げていることで、人件費だけでもなかなかのコストがかかってくるという実情があります。

動画制作の料金にかかる、人件費以外のもの

撮影篇

実際の撮影で大きくかかってくる費用としては、

・撮影機材(カメラ本体、レンズ、三脚、ドーリーetc)

・照明機材(いろんなサイズの照明機材。それを支える三脚etc)

・ロケ地(ロケ地を借りるのにかかる費用。無料の場合もあります)

・撮影スタジオ費(室内撮影の場合、スタジオを使うことが多い。ハウススタジオもある)

・美術費(背景や園芸、電飾、特殊衣装など、小道具・大道具にかかる材料費)

・フィルム、テープ費(最近はHDDが多くなってきました)

・CG制作費(CGを使用する場合)

・音楽、効果音費(既存の音源を使う場合でも使用料がかかります)

などの項目が挙げられます。

撮影や照明機材は値段が億を超えるものもあるので、レンタルすることが多いです。ただ、小規模の撮影ではカメラマンやディレクターがある程度揃えて持っていますし、Canonの5Dなどを使えばわりといい画は撮れるので、最近は低コスト化してきています。

 ロケの場合、雨天で撮影が飛んでしまっても、押さえていた機材や場所の費用はかかってきてしまいます。撮影日の天気は真剣に見極めて、キャンセル料金がかかる前に判断しましょう。

 撮影スタジオ費は時間換算。広いスタジオほど高いです。

 音楽に関してはやはり有名アーティストほど高いですが、条件が合えばタイアップという形でコストを抑える方法もあります。

編集篇

編集のざっくりとした手順としては以下のようになります。

・仮編集(オフラインとも言う。撮影素材のどのカットを使うか決めて、つなげる作業)

・本編集(色味の調整やエフェクト、タイトルなど最終的な仕上げに向けた編集作業)

・MA(ナレーションを録音していれたり、音楽と声・効果音など全体の音のバランスなどを調整する作業)

これらは基本的に、編集スタジオと呼ばれる場所で作業します。

編集スタジオには、編集マシンがある部屋があり、カラオケのようにその部屋を1時間あたりいくら、という形で使います。

 仮編集は使う編集マシンにもよりますが、だいたい50,000円~/1Hくらいが平均でしょうか。

 本編集は、仮編集の倍くらいを想定しておいた方がよいと思います。

 MAスタジオも本編集より少し安いくらいで、さほど変わりません。

 これらの部屋の費用に、エディターやミキサー、そのアシスタントの人件費が加わってきます。

納品篇

納品する際にかかる費用としては、

プリント費(CMの場合、放送局に納品するためのメディアを用意する作業)

コーディング費用(Web上にアップする際に、動画のフォーマットを調整する作業)

DVDやブルーレイ(アーカイブとして手元に置いておく際のメディア費用)

などが挙げられます。

また、最終的な納品データや撮影したデータをアーカイブとして管理しておく「管理費」もかかってきたりします。

まとめ

企業担当者が料金把握のためにすべきこと

いかがでしたでしょうか。

料金の話をひたすら聞いていると、いったいどれだけかかるのかと、気が滅入ってしまったかもしれませんが、動画制作は、企画内容や使うスタッフによってかかる料金がかなり変動します。

①企画関連費(企画するプランナーと企画内容によって変動・15秒:30,000円~、30秒:50,000円~、それ以上の長尺のものは、100,000円~を目安)

②プロデューサー・演出家(特に演出家は、実績によって変動。プロデューサーは作業時間にもよるが、100,000円~)

③その他、人件費(カメラマン、照明技師、エディターなど)

④撮影費(ロケ地にかかる費用、撮影機材費、照明機材費など)

⑤編集費(仮編集は目安50,000円/1H~、本編集とMAはその倍程度)

⑥納品メディア費用(プリント費、コーディング費用など)

 では結局、企業担当者はどうすればよいのでしょうか?

 動画を作りたい企業担当者の方は、今回この記事でも参考にしている「広告制作料金基準表(通称アドメニュー)」などを手元に置き、発注先が提出してきた見積もりと照らし合わせながら、ひとつひとつの項目が、なぜその費用なのかきちんと把握することが大事になってきます。

また、最近では、プロデューサー、ディレクター、カメラマンだけいれば企画から撮影から編集・納品までこなしてしまう少数精鋭企業も出て来ています(ディレクターが企画・演出・編集をすべてこなす、カメラマンが照明までこなす、等)。こういうところは、仲良くなるとかなり相談に乗ってくれるので、「有名だから」と安易に大きな映像制作会社に仕事を出す前に一度考えた方がよいかもしれません。

 さらに、「Viibar」をはじめインターネット上にも新しい動画制作体験をもたらす様々なサービスが誕生しています。

 今までは動画制作=動画制作会社、でしたが、今は選択肢がある時代。作りたい内容と必要なクオリティに合わせて、作る方法も選んでいきましょう。

 

※本記事の動画制作に関する参考料金は「広告制作料金基準表2013-14版」を元に最安料金+筆者の経験値で算出しています。

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