マーケティングに用いられる「実写」と「アニメーション」

現在、動画マーケティングの有効性が謳われているが、そもそも動画にはどのようなものがあり、どう活用すれば良いのかわからないといった課題を抱えている方も多いのではないだろうか。
ここでは、マーケティングに用いられる動画を大きく「実写」と「アニメーション」の2つに分け、それぞれのメリットから、主に用いられるジャンル・作風まで幅広く紹介していく。

実写

現実の風景や人物を使用した映像。

メリット

リアリティの訴求

現実の風景や人物が登場するため、アニメーションに比べリアリティがある。
ターゲット層に合ったキャストを選ぶことができれば、視聴者に身近な表現をすることが可能。
また、実際に人が出演することによって、信頼感を出すことができる。

共感度の向上

「ユーザーの反応」や「開発者のエピソード」など、実際の体験を共有でき、共感を呼びやすい表現ができる。

主に用いられるジャンル・手法

インタビュー

ある人物に対する質問・取材映像や、消費者や有識者の意見を紹介する映像。
社員へのインタビューや、商品を実際に使った方へのインタビューなど、そこにいる「リアルな人」が見えてくることが強み。

株式会社資生堂様の事例

「資生堂で働くということ」をテーマに、社員一人一人へのインタビューや働く現場を捉えた動画。一人一人が自分の価値観や今の会社で働く魅力やマッチングを語ることで、企業の人と中を魅力的に伝えている。

イメージ広告/ブランド広告

直接的な宣伝ではなく、雰囲気や情感に訴えかける表現でブランド・商品のイメージアップを狙う映像。
短期的な売上ではなく、認知度、メッセージ想起、好意度、購入意向などのブランディング指標を向上させることがゴールになり、ブランドとユーザーの関係性を深めることを重視される。
自社のブランドがある程度構築され、商品・サービスの内容が一般に認知されている企業であれば、ブランディング広告でブランドイメージを訴求する方が売上に繋がる場合もある。

株式会社資生堂様の事例

資生堂の自社メディアの認知促進動画。映像の最後に明らかになる意外な事実が驚きを誘い、多くのシェアを獲得。

ドキュメンタリー

特定の人物や出来事・テーマを脚色や演出をなるべく排し、起きた事に近い形で編集した映像。
世界観とストーリーが潜在的ターゲット層にマッチすれば、どういう層に届けたいのかがはっきりと訴求できるのが強み。

日本航空株式会社様の事例

数々の先進機能を搭載したJAL「SKY SUITE」をドキュメンタリー形式でその魅力を余すところなく伝えている。CAの方の仕事の裏側まで密着しており。フライトの舞台裏まで楽しめる動画となっている。

フィクション(ドラマ・演技モノ)

架空のストーリー、登場人物で構成し、筋書きに従って出演者が演技をすることで、何らかの物語を視覚化した映像。
しっかりとしたストーリー構成とキャスティングをすれば、心に訴え説得力のある物語を演出できる。

株式会社ダスキン様の事例

「お掃除は誰かのためを想った行為」というコンセプトを、宣伝色をなくし共感できる物語に仕上げている。

ハウツー/マニュアル

商品・サービスの使い方や活用方法を理解してもら目的で説明的に構成された映像。
複雑な手順なども可能な限りわかりやすく理解できることが大切。

ローランド株式会社様の事例

消費者の電子ドラム上達に対する不安を取り除き、購入の後押しをする事を目的とした基礎レッスン動画。販売店に接客ツールとして活用、購入前のお客様の不安を取り除くことに成功。

その他、下記のように、扱う商材などに特化したジャンルがある。

料理モノ

ある飲食店や料理、またはそのレシピを紹介することを目的とした映像。
料理方法に特化したものも多くなっている。

旅行モノ

ある都市や地域を訪れた際の景観、体験、見聞について紹介する映像。

イベント収録/音楽収録

何らかのイベントや音楽を演奏している状況を収録した映像。

アニメーション

コンピュータグラフィックスや複数の絵や文字による静止画のコマ撮りを用いた映像。

メリット

親しみやすさ

アニメーション動画には、誰でも楽しめる親しみやすさがある。実写の場合、タレントの起用や撮影場所によって与える印象が大きく変わり、良くも悪くもキャストやロケ地に左右されるが、アニメーションの場合は意図通りの表現が可能。企業のターゲットとするペルソナ像にそったキャラクター性を持たせることができれば、見てもらいたい人に最適な情報を届けることができる。

低コスト

多くの場合、キャスト選びや撮影という工程自体を省くことができるため、かかるコストを抑えることができる。

演出の多彩さ

アニメーションでは、現実では表現できないイメージなども映像化することができる。説明が難しいサービス概要や、企業の目指すビジョンなども、分かりやすく印象的なプロセスで表現できる。

主に用いられるジャンル・作風

キャラクターアニメーション

アニメーションを用いたマーケティング動画の中でも、人気があるものの一つ。
ブランドに感情や個性をもたらすための魅力的なキャラクターを設定することで、視聴者の目を惹きつけ記憶に残るように作り上げることができる。
メインキャラクター(購買者のペルソナを表現)が問題(視聴者が抱えている課題)を、企業の製品やサービスの力を借りて解決するといったストーリー展開などが代表的。

株式会社モスフードサービス様の事例

モスバーガーの新サービスである、「モスのネット注文」。利用者にどんなメリットがあるのか、30秒という限られた時間の中で、個性的なキャラクターで表現している。

ホワイトボードアニメーション

ホワイトボードに描くように、手書きのイラストや文字で物語が進んでいく手法。
教育的手法(複雑なコンセプトも非常にシンプルに説明)であり、商品やサービスの説明にも効果的。
人の手による手書きが、温かみと親しみやすさも感じさせる。

株式会社リクルートホールディングス様の事例

リクルート様の企業紹介動画。
同社の手がける様々な事業やサービスを、シンプルに親しみやすく説明している。

モーショングラフィックス

写真、テクスチャ、ロゴ、文字等の素材を組み合わせて動かしたアニメーション。
この手法は、円滑な動きでメッセージを伝えるために形状や色、パターンといったグラフィック要素を利用する。モーショングラフィックス動画は、数値やグラフなどのデータの提示を用いて、複雑だったり抽象的な情報を説明する必要のある金融や技術産業の企業やSMBに適している。

freee株式会社様の事例

クラウド会計を支援ツールを提供するfreeeの、マイナンバー管理サービスの紹介動画。複雑なマイナンバーの仕組みをグラフィックを用いて分かりやすく説明している。

手書き風アニメーション

手書き風の線により作成されたアニメーションは、手書きならではの味と温かみにより、オリジナリティのある映像表現が可能。

株式会社ワコール様の事例

花になるパンツ「パンツフラワー」の紹介動画。温かみのある映像と、シンプルで訴求力のあるストーリーで制作。バレンタインデーに贈るシチュエーションを複数表現することで共感を生んだ。

セルアニメーション

テレビで放送されるセルアニメ、セルルックCGのような印象のアニメーション。
洗練された映像表現が可能で、映画のようなクオリティにまで高めることもできるが、手間とコストがかかるため、1つのサービス紹介にとどめるよりも、企業ブランディングや大きなキャンペーン予算を駆使した話題喚起などに適している。

株式会社セプテーニ・オリジナル様の事例

セプテーニオリジナルがスポンサーを務めるイベント用動画。アニメ映画のようなクオリティで仕上げ、イベントのオープニングとエンディングに使用された。

上記の代表的なものの他にも、様々なジャンル・作風が存在する。

絵本風アニメーション

絵本のイラストのような柔和なタッチのアニメーション。

ドット絵アニメーション

1ピクセル単位で描かれた、レトロゲームの画面のようなタッチのアニメーション。

立体物アニメーション

人形や粘土等の立体物を動かすことで表現したアニメーション。

実写・アニメーションの複合

上記実写やアニメーションの各ジャンル・作風を組み合わせることで、より良い効果を生み出すことも。
これにより、実写だけでは伝えることが困難なものや、アニメだけでは伝えられないことまで表現することができる。

株式会社葵様の事例

スマホ学習塾「アオイゼミ」の最難関校対策コース「サクラス」のサービス紹介動画。ライブ授業の疑似体験をしてもらいたいという狙いで制作。視聴者が興味を持つ入り口としての効果を発揮し、イベント出展時には、他社にはないアプローチで来場者の目を惹きつける要素となっている。

ここにあげたように、ひとえに動画と言っても多様なジャンル・作風が存在することが分かる。
実際にマーケティングに活用する際は、それぞれのジャンル・作風の利点を活かし、目的に応じた動画を選び制作することが大切である。
届けたいターゲット層、伝えたい内容にしっかりマッチした動画を制作できれば、競合他社と差別化した効果的なマーケティングも可能となるだろう。

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