360度動画とは

360度動画とは、視聴者が視点を上下左右360度全てのアングルに動かして対象物を見ることができる動画のこと。「パノラマ動画」「全天球動画」などとも呼ばれる。VR(Virtual Reality:仮想現実)の一種としても注目され、マーケティングへ導入する事例も増えてきている。

360度動画を視聴する環境

PCの場合

YouTubeはパソコン用の Chrome、Opera、Firefox、Internet Explorer の最新バージョンが必要となる。Safariは未対応である(2016年9月現在)。FacebookはChrome、Opera、Firefoxなどのブラウザの最新バージョンが必要となる。SafariとInternet Explorerは未対応である(2016年9月現在)。

モバイルの場合

Androidの場合は、YouTubeの公式アプリで360度動画を視聴できる。iOSではYouTube アプリ、もしくは360度動画視聴アプリの「in360Tube」で視聴できる。

360度動画の操作方法

PCの場合

マウスやタッチパネルを操作することによって別のアングルから対象物を視聴することができる。

モバイルの場合

ジャイロセンサー機能によって端末の向きや傾きを変えることでアングルを変えることができる(通常は、指で画面をドラッグしてもアングルを変えることができる)。

360度動画の制作方法

複数のカメラを連結して360度動画を撮影することも可能だが、最近は1台で360度動画を撮影できる専用カメラも手頃な価格になりつつあり、これらの専用カメラを使っての撮影が主流となってきている。
編集については、360°動画専用の動画編集ソフトが必要になる。360度動画は、演算負荷の高いビデオ・スティッチングと呼ばれる動画処理を行って、別アングルで撮影された複数映像をつなぎ合わせている。これはパノラマ写真で画像をつなぎあわせるのと似た原理で、動画クリエイターを含めた制作スタッフに高い技術と知識が必要となる。なお、ビデオ・スティッチングを行う編集ソフトは「Autopano Video」というソフトが世界的に主流となっている。
また、360 度動画のファイルをアップロードするには、事前にアプリやスクリプトを使用してメタデータを付与するファイル修正を行う必要がある。

ヘッドマウントディスプレイについて

ヘッドマウントディスプレイ(HMD)とは、頭の動きに合わせて視野のアングルが変わり、映像をより仮想現実として捉えることができるVRビューワーのこと。近年、様々なメーカーからヘッドマウントディスプレイをはじめとしたVRデバイスが発売されている。本年10月にはPlayStationVRがリリースされており、ヘッドマウントディスプレイによる動画視聴が、今後さらに普及すると予測されている。
2016年はVR元年と言われているが、こうした流れからヘッドマウントディスプレイ元年であるとも言われている。

360度動画を導入しているサービス

YouTube

YouTubeでは、2015年3月から360度動画を導入している。現在、YouTube で使用可能な 360 度カメラはRICOHの「THETA 」、Kodak の 「SP360 」、IC Real Tech の「Allie」の3つ。アップロードの際の設定では、YouTubeの専用アプリかPythonスクリプトを利用してメタデータを付与している。

Facebook

Facebookでは、2015年9月から360度動画を導入している。現在、Facebookで使用可能な 360 度カメラはRICOHの「THETA 」、IC Real Tech の「Allie」、Giropticの「360cam」、「360fly」の4つ。アップロードの際に設定は、360度メタデータを追加するカメラシステムで撮影された動画については、他の動画と同じ方法でそのままアップロード可能。360度メタデータを付与しないカメラシステムで撮影された動画については、動画ファイルに360度メタデータを付与してからタイムラインにアップロードするようになっている。
なお、Facebookで360度動画になっている動画には、左下に「360度動画」というラベルが表示される。

360Channel

360Channel(サンロクマルチャンネル)は、株式会社コロプラの子会社である株式会社360Channelが配信する360度動画専用チャンネル。バラエティ、ドキュメンタリー、音楽、観光など幅広いジャンルのコンテンツを配信している。PC、モバイル端末、VR専用デバイスなどマルチデバイスに対応しており、専用のモバイルアプリもリリースされている注目のサービスである。

360Channel

https://www.360ch.tv/
360ch

ウェブサイト

ウェブサイトの場合、360度動画を様々なユーザーの視聴デバイスやブラウザに対応させる必要があるので、SNSへのアップロードと比べると費用的・時間的にコストがかかる。しかし、その分自由度が高い表現が可能となる。以下はauがキャンペーンサイトで360度動画を活用した事例である。

au

http://campaign.au.kddi.com/hello/
au_360

360度動画の活用事例10選

360度動画の活用事例を、目的別に紹介する。

体験する

リゾート体験

360度動画では、普段見ることができない景色や、なかなか訪れることが出来ないリゾート地などを疑似体験できる。様々な視点で景色を見ることができ、スキューバダイビングといったリゾート地ならでは娯楽も、実際に体験しているかのような感覚を提供することができる。

1)Qantas Airways:Visit Hamilton Island in 360˚ Virtual Reality

 

アトラクション体験

遊園地のアトラクションや、ゲームイベントなどを、360度動画で事前に動画で体験してもらうことで集客につなげることが可能になる。

2C Channel:360° roller coaster video

 

ゲーム体験

360度動画が最も速く実装されたジャンルの一つといえばゲーム。「クラッシュ・オブ・クラン」と「マジガーーーーール!!!」は、ゲームアプリの紹介を360度動画で伝えることで、ユーザーにその世界観を色濃く伝えている。

3)SUPERCELL:「クラッシュ・オブ・クラン」

4)xeenjp:「マジガーーーーール!!!」

 

サービス体験

360度動画でサービスならではの使用感を伝えているプロモーション動画。日本航空はJAL SKY SUITEについて、その具体的なメリットを動画の中で体験できる形で紹介している。

5)JAL:360度動画でJAL SKY SUITEの魅力に迫る Vol.3 ~ビジネスクラス編~

動画活用事例:日本航空が採用した「360度動画」リアルな体験が打ち破った、コミュニケーションの壁とは
 

ライブ感を伝える

音楽ライブ

360度動画によって、ライブを観ているかのような臨場感を味わうことができる。自由に視点アングルを動かすことができるため、ステージ上のアーティストの動きだけを追いかけたり、ライブに熱狂するファンの様子を見たりといった、何度みても楽しむことができるライブ映像を提供できる。

6)Robbie Williams:Let Me Entertain You live in Sydney

 

スポーツ

360度動画によって、試合会場の臨場感や熱気、ワクワクドキドキするオーディエンスの雰囲気などがユーザーに伝わり、自宅に居ながら迫力のあるスポーツを観戦ができる。また、スポーツのルールを選手の視点で理解するといったことも可能になっている。

7)U.S. Soccer:One Nation. One Team.

 

ユーザーがストーリーの中へ入り込む感覚を提供する

360度動画によって、ユーザーがストーリーの中へ入り込んで、サスペンスやミステリーといったジャンルの謎解きや、ホラーのスリル感覚などを疑似体験することができる。このように、ストーリー性がある動画を作り出すことができるのも360度動画の特性である。

サスペンス

8)WOWWOW 筒井哲哉/集英社:予告犯360° - 真実を見抜けるか?

ホラー

9)TomoNews:「後ろの正面だあれ…?」夜の小学校に潜む影

 

新たな表現方法として利用する

機材さえ準備できれば新しい表現が可能となるので、アーティストによる活用事例も増えている。EDMで今最も勢いのあるスウェーデン出身のDJアヴィーチーのミュージックビデオでは、円形状に並んだドアを使ってダンサーが手品のように出入りを繰り返してはダンスを繰り広げ、アーティスト独自の高い作品性を実現している。

10)AviciiOfficialVEVO:Waiting For Love

このように、360度動画は、商品サービスの臨場感や世界観など、様々な疑似体験を可能にする表現技法の一つである。アイデアや工夫次第で、前例のない新しい動画を作成することも可能だ。

以前と比較すればかなり動画制作が簡単になった印象があるが、専用のカメラや編集ソフトが必要となり、作成者の知識やスキルなどの必要性も含めて考慮すると、やはりプロのクリエイターに制作を依頼したいジャンルの動画である。

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